
2026年9月13日、沖縄県知事選挙で大きな転換が起きました。
自民党などが推薦した新人の古謝玄太(こじゃ げんた)氏が、現職の玉城デニー氏を破って初当選。
古謝氏の得票は42万3124票。玉城氏との差は14万票を超え、過去最多の得票数となりました。投票率も61.57%に達しています。
さらに注目されるのが、古謝氏が42歳という若さです。
沖縄が1972年に本土復帰して以来、復帰後に生まれた人物が知事になるのは初めて。公選知事としても史上最年少となります。
では、古謝玄太氏とは一体どんな人物なのでしょうか。
東大卒、総務省のエリート官僚
古謝氏は1983年、沖縄県那覇市生まれ。
昭和薬科大学附属高校を卒業後、東京大学に進学し薬学部を卒業しています。
大学時代には「東京大学沖縄県人会」を立ち上げ、初代会長を務めました。
そこで出会った沖縄出身の若者たちから
「沖縄に帰りたいけれど、働く場所がない」
という声を聞いたことが、後の政治活動につながる原点になったとされています。
大学卒業後の2008年には総務省へ入省。
国の制度や地方行政について経験を積み、その後は内閣官房や復興庁、長崎県などでも勤務しました。
特に長崎県では、観光振興、国際、文化振興、財政など幅広い分野を担当しています。
つまり古謝氏の大きな特徴は、
「国の行政」と「地方行政」の両方を知っていること
です。
民間企業にも転身
古謝氏は、いわゆる官僚一筋の人物でもありません。
2020年には総務省を離れNTTデータ経営研究所へ転職。
沖縄県内企業と連携し、スタートアップ育成事業などにも取り組みました。
その後、2022年には参議院選挙の沖縄選挙区に出馬。
結果は当選に届かなかったものの、27万票以上を獲得しました。
そして同じ年の12月、那覇市副市長に就任します。
ここから古謝氏は、国の仕事だけではなく沖縄の自治体行政を直接担う立場になりました。
那覇市副市長時代は「現場型」
2022年から2026年2月まで務めた那覇市副市長時代には、中小企業のDX支援、教育、子育て、福祉、地域振興など幅広い政策に関わりました。
特に興味深いのが、子育て世代としての自身の経験です。
古謝氏は妻と4人の娘、1人の息子の5人の子どもを持つ7人家族。
副市長在任中には「産後パパ育休」も取得しています。
政治家として子育て政策を訴えるだけでなく、自身も子育ての当事者だったわけです。
古謝氏が掲げる「沖縄を、前に。」
今回の知事選で古謝氏が強く訴えたのが、沖縄経済の成長です。
スローガンは、
「沖縄を、前に。」
その中心となるのが「新5K経済」。
観光、健康、環境、海洋、起業という5つの分野を成長させ、新しい産業と雇用を生み出す構想です。
そして選挙戦では、県民所得を大幅に引き上げることや、子育て支援の拡充などを前面に打ち出しました。
これまでの沖縄県政では、米軍基地問題が大きな争点になってきました。
しかし古謝氏は今回、
基地問題だけではなく、経済や暮らしをどう改善するか
というテーマを強く打ち出したのです。
最大の違いは「辺野古」をめぐる立場
一方で、古謝氏の知事就任によって、沖縄県政は大きく変わる可能性があります。
最大のポイントが、普天間基地の名護市辺野古への移設問題です。
古謝氏は辺野古移設を容認する立場。
これに対して、前知事の玉城デニー氏は辺野古新基地建設に反対してきました。
今回の選挙結果によって、2014年以来12年ぶりに、辺野古移設を容認する立場の知事が誕生したことになります。
そのため、古謝氏の当選は単なる「知事の交代」ではなく、沖縄県と政府との関係が変わる可能性を持った選挙結果ともいえます。
なぜ14万票以上の大差になったのか
今回の選挙では、古謝氏が42万3124票を獲得した一方、玉城氏は27万6060票。
その差は14万7064票でした。
古謝氏を支持したのは自民党だけではありません。
自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党、公明党県本部など、保守・中道系の勢力が推薦しました。
そこに、
「沖縄の経済をもっと成長させてほしい」
「暮らしを良くしてほしい」
「県政を変えてほしい」
という有権者の期待が重なったとみられます。
一方、古謝氏自身は今回の大勝について「歴史的勝利」と自ら強調することには慎重な姿勢を見せています。
若さと行政経験が最大の武器
古謝玄太氏を一言で表すなら、
「若いけれど、行政経験が非常に長い政治家」
でしょう。
42歳という若さだけを見ると、政治家としては新顔に見えます。
しかし実際には、総務省、内閣官房、長崎県、復興庁、民間企業、那覇市副市長と、国・地方・民間を渡り歩いてきました。
そして今回、沖縄県知事というさらに大きな舞台へ進みます。
本人が掲げるのは「つなぐ政治」。
国と沖縄。
企業と行政。
若者と故郷。
そして、基地問題と経済問題。
これまで対立しがちだったものをどこまでつなぐことができるのかが、古謝県政の大きな課題になりそうです。
これからの沖縄はどう変わるのか
古謝氏は選挙後、
「146万人の県民の代表として、しっかり皆さんの声を聞きながら、暮らしや経済、子育て支援を前に進めたい」
と抱負を述べています。
一方で、辺野古移設をめぐっては沖縄県内に依然として強い意見の対立があります。
そのため、新知事に求められるのは単に政府との関係を良くすることだけではありません。
経済を成長させながら、基地問題や離島振興、子育て、教育、貧困など、沖縄が抱えるさまざまな課題にどう向き合うのか。
42歳の若き知事・古謝玄太氏。
「沖縄を、前に。」という言葉を、本当に県民の生活の変化につなげられるのか。
その手腕が、これから全国から注目されることになりそうです。
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